このしょーもなさ本物のミキトだなw

デスミキトは激怒した。全て破壊しつくされた帝国の残骸を見ながら彼はそこに立ちすくんでいた。すでに壊すものがなくなった彼には、虚しさだけが残った。また100年間眠りにつかなければならない、彼にとっては億劫でしかたなかった。
 
100年ぶりに復活した彼には少々物足りなかったのか、たった1日でデスミキト帝国は滅びてしまった。帝国の中心から飛び出した彼は、今までの鬱憤を晴らすかのように暴れ回った。バーサークミキトを讃える銅像は首がなくなっている。いつもミキト達が集まって騒いでいた広場は瓦礫と死体で埋め尽くされた。賑わっていた商店街はもはやゴーストミキトの巣窟と化している。この国にもはや生気はない。

デスミキトが再び、飛び足して出来た穴に戻っていくのを確認したブラッドミキトサースターはとても疲れ切っていた。100年に一度、大量に殺されるミキト達を彼は黙って見ていられなかった。デスミキトが殺戮の限りを尽くす中、彼は一部のミキト達を安全な場所に避難させていた。バーサークミキトがこの日のために建設していたデスミキトエンパイアーなる新たな帝国ならミキトを無事デスミキトから守ることができる。次の100年までミキトの血筋を絶えさせまいと彼は奮闘していた。

デスミキトエンパイアーまでは旧デスミキト帝国の地下世界から行くことができる。ブラッドミキトサースターと約50人のミキトたちは身を寄せ合いながら地下への階段を下っていった。

「デスミキトは神なんかじゃない、あいつはただの化け物さ。」ブラッドミキトに追いついたザラタンヤヤミキトゥーレが言った。

「それでも彼をリスペクトして止まないミキトはたくさんいるんだぜ?」ブラッドミキトが答えた。

実際のことろデスミキトのどこが素晴らしいのかブラッドミキトサースターは疑問に思っていた。100年に一度、起きたと思えば、今度は暴れ回り、破壊する。当然その破壊に巻き込まれるミキトも少なくはない。それでも彼を崇拝するミキト達は次の破壊に備えて新たな帝国を創り上げる。これが永遠に繰り返されてきたのだ。

「おかしいとは思はないのか?」ザラタンヤヤミキトゥーレは尋ねた。

「確かにイカレテいるとは思うが、ミキトである以上、デスミキトを慕ってやまないバーサークミキトには逆らえないしな。」ブラッドミキトサースターは答えた。

階段を降りた先には巨大な大河が広がっていた。ブラッドミキトサースター達は岸に沿って歩みを進めた。

「ここをずっと奥に進んでいけば、デスミキトエンパイアーの真下に達するはずだ。」息をきらしながらブラッドミキトサースターが言った。
「長かった、全員無事にたどり着けそうだ。」

その時だった。ミキト達が歩く横を流れる大河から謎の小舟が現れた。それも1艘や2艘ではない。その数は徐々に増えていった。すぐに河は小舟で埋め尽くされた。

「しまったミキトゾンビに囲まれた!」ブラッドミキトサースターは叫んだ。

「河に引きずり込まれるぞ!」

ミキト達は慌てふためき、バラバラになっていった。走り出して逃げ出す者がいれば、状況を把握できずにパニック状態のミキトもいる。
ミキトゾンビは獲物を追い詰めようと岸に迫っていた。ザラタンミキトヤヤトゥーレはアルサックフローティングアイスを展開するが、全てのミキトを守れるわけではなかった。しばらくして誰かのミキトの叫び声を上げた。
デスミキトに殺されないために逃げてきたのにも関わらず、ここで死ぬわけにはいかない。
ブラッドミキトサースターもイフリート・ドラゴニアで反撃するもミキトゾンビ数が多く、次々とミキト達が河に引きずり込まれていく。

そしてついにザラタンヤヤミキトゥーレのアルサックフローティングアイスが崩れた。ミキトゾンビがなだれ込んでくる。

「ブラッドミキトサースター!ラ・シルフィードを展開するんだ!」ザラタンヤヤミキトューレが叫んだ。

「あれは一度しか攻撃に耐えられない!エアリアルはまだ出せんのだ!」

「私にいい考えがある。」ひと呼吸おいてザラタンヤヤミキトューレが言った。

「クラスターを使う。」

「馬鹿な!お前はどうする気だ?」

「俺一人の犠牲でみんなが助かるなら本望だよ。」

そう言ってザラタンヤヤミキトゥーレはミキトゾンビの群れに突っ込んだ。

ブラッドミキトサースターは考える暇もなくラ・シルフィードを召喚した。穢れの拒絶が生き残ったミキト達を包み込む。
次の瞬間、ミキトゾンビの群れが大爆発を起こし吹き飛んだ。すさまじい音が洞くつに響き渡る。

しばらくすると辺りにゾンビミキトの肉片が降り注いだ。
ブラッドミキトサースターは残ったゾンビミキトから皆を逃がすために、彼に先に行くよう伝えた。

「ああ、ザラタンヤヤミキトゥーレよ。」彼の目に涙があふれた。一瞬の出来事であった。
私がザラタンヤヤミキトゥーレを殺したのも同然だ。ミキトである以上、殺戮からは逃れることはできないのか。
そんなことを考えながら、ザラタンヤヤミキトゥーレを捜した。

「俺はデスミキトとバーサークミキトを許さない」
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