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10/07 22:01
ある年の年末、軽井沢の友人別荘で過ごす事になり
友人家族と共に関越道をひた走る。
佐久インターチェンジで高速を降りれば、其処はもう雪の世界。
別荘の有る中軽井沢は静寂の白さに包まれていた。
別荘の中に入り、窓を開け放ち空気を入れ替える。
同時に、エアコンと暖房を全開にして暖機運転。
この作業が結構大変だ。
その後、手の開いた俺と友人、そして友人の弟妹で
今夜の買出しに佐久駅付近へ出掛けた。
買出しも終わり、皆で鍋を突付きながら楽しく夕食。
暖炉の前で酒を飲みながらゆったりと寛いでいると、
ちょっと離れた別荘の窓に明かりが点くのが見えた。
「あそこの別荘にも持ち主が来たみたいですね。」
俺が親父さんに向かって呟く。
「え?あそこはもうずっと売りに出てるはずだよ?元の持ち主はバブルが弾けた時に破産して、一家離散してしまったと言う話でそれからはずっとあの別荘は空き家だけどね...?」
しかし、確かに明かりが点いているのが確認できる。
こんな時期、時間に別荘を見に来るというのは考え難い。
「浮浪者でも入り込んだかな...?」親父さんが呟く。
「J、ちょっと様子見に行ってみようか」と友人が言い、
家族の見守る中二人でそっと近付いていった。
大きなガラス窓から漏れる光の中には、家族らしき人達が談笑している。あまりにも普通の光景に、俺と友人は「今年、此処を買ったのかもしれないな」と話し、下手に覗くよりも普通に挨拶しようかと相談して玄関に廻り、チャイムを押した。
「ピンポーン」
チャイムが鳴った瞬間、全ての明かりが消え、チャイムが鳴った瞬間まで聞こえて来ていた笑い声や話声も全く聞こえなくなり、闇と静寂のみに包まれる。
パニックになった友人を制し、もう一度チャイムを押す。
しかし、二度とチャイムが鳴る事は無かった。
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