日銀の二千円札の発行残高が、10月末までに初めて2カ月連続で2000億円を下回った。流通枚数も全紙幣の1%以下に落ち込む。沖縄サミットを記念し登場してから十数年しかたっていないのに、さっぱり流通しないのはなぜか。
「金融機関から希望があれば供給しますが…。世の中の需要を反映しているのではないですか」と話すのは日銀発券局の担当者。
ピーク時の04年8月末の流通枚数は、実は約5億1000万枚と五千円札をしのぐ規模だった。しかし、それが10月末時点で1億枚を割り込み、大量の在庫が日銀の金庫で眠っている。
はやらない理由は、外国で一般的な2がつく紙幣が日本になじみにくいなど諸説あるが、現金自動預払機(ATM)や自動販売機などでほぼ使えないという使い勝手の悪さが大きい。
ATMでの対応自体は難しくないが、現金収納場所に限りがあるだけに一万円札や千円札の場所が狭くなり、「紙幣充填(じゅうてん)のために頻繁に止めて利便性が悪くなったり、コストが余計かかったりする」と使用者側も事情を明かす。
ある大手自販機メーカーの担当者は「ニーズがないからつくらない」と話す。インフラの不対応が消費者の足を遠のかせ、さらに需要を押し下げるジレンマに陥っている。